■「第11回 web creators conference」に関して
――今回のカンファレンスは、どういうきっかけで、講師を担当されることになったのでしょうか?
「以前から、雑誌『web creators』に執筆していたためです。昨年末から『Webレイアウトのネタ帖』という連載を担当しています」
――講師をされるにあたって、特に注意された点や事前に準備された点などはありますか?
「3時間に渡るカンファレンスで、しかも話すのは一人だったので、内容を整理しておかなければ持たないと思い、かなり時間をかけて準備しました。また、ビジュアル的に見せる部分がないと飽きてしまうかなと思って、資料や小道具などを考えました。来場者も200名くらいを予定していて、かなり幅が広くなってしまうので、知識的なレベルや関心領域をどのくらいに設定すべきかが難しかったです。前回までのカンファレンスの状況を、web creators編集部の方にお聞きしたり、ビデオを見せてもらったりしました」
――今回のカンファレンスで、何か収穫がありましたか。
「とても熱気を感じました。カンファレンスのあとの懇親会で、いろいろな方と話せて刺激になりました」
■Webについて
――サイトをデザインする時、“色使い”で気をつけていることやこだわっていることはありますか?
「余計な色は使わないということでしょうか。こだわっているというわけではないですが、白バックのミニマルな表現のデザインがわりと多いです。ただ、これはクライアントにもよりますね」
――アイディアの元、発想のヒントはどこから得ていますか。side-B(プライベートサイト)を拝見しましたが、写真を撮ることもまた、佐藤さんにとってはその一つでしょうか。
「写真は好きです。写真を生かしたデザインをしたいとは思っています。発想のヒントになっているかどうかは、ちょっとよくわかりません。デザインのアイディアという点では、海外の雑誌はよく目を通します。プロダクトデザインや建築関係の雑誌も好きです。そういう雑誌はグラフィックデザインとしてもきれいなことが多いし、そこで取り上げられている作品自体が、ジャンルが違っても、発想という部分で刺激を受けることがあります」
――モチベーションが下がる時はありますか。そのような時モチベーションを上げる方法は?
「原稿が良くないときはモチベーションが下がります。いくらきれいに作っても、原稿が良くなければ、何も伝わりません。モチベーションを上げる方法としては、その仕事で自分が何を学ぶかという目標を立てることです。効率的と思われる制作方法を試してみることもあります」
――どのようなサイトが魅力的だと思われますか。佐藤さんが好きだと思うサイトや参考にしているページなどがありましたら教えてください。
「企業サイトでは、『BlueTooth』(http://www.bluetooth.com/)のサイトの写真の透明感とかが好きです」
――広告や情報発信の媒体としてサイトが利用されることが多いですが、佐藤さんにとって“サイト”は、ずばり何でしょうか?
「難しいですね。“デスクトップ(の延長)”というイメージはあります。これだけネットの回線速度が速くなると、今、もうすでにパソコンというのは個体を指すものではなくなっていると思うのですね。情報が内蔵ハードディスクにあるか、ネット上にあるのかは考える必要がない。UNIXはもともとそういう発想だし、Internet Explorer4はそれを家庭用パソコンの世界で実現したと思うのです。そう考えると、サイトというのは、ビジュアル化された情報を収めたフォルダにすぎないという考え方もできると思います。それが良いことかどうかは別として」
――Webという分野で、佐藤さんが今、個人的に興味を持っていらっしゃることはありますか。
「ネットでの情報発信の手軽さというのは、メリットでもあり、デメリットでもあると思っています。自分自身を考えても、印刷物に書くのとWebに書くのでは、文章が違う気がするのです。Webもそろそろ歴史を持ってきたわけですが、Webから古典は生まれるかなというのは興味があります。遺跡は結構あると思いますけど」
――今後、Webの果たす役割は変わっていくと思いますか。また、Webに求められていくのは何だと思われますか。
「現在からの流れとして、情報は迅速に伝わり、コミュニケーションも活発であり続けると思いますが、もう一つ、“感動を伝えられるか”というところに、表現を考える人間としては興味を持っています。だからといって、高品質な映像を流せばよいとは思っていません。それでは、TVと変わらない。デザインのきれいなサイトはあるけれど、コンテンツはデザイナーの業務紹介だったり、企業の広報サイトだったりするわけです。美しくて、コンテンツも文化的に素晴らしいというサイトは非常に少ないと思います。本だったら、たくさんあるのに。
個人サイトだけでなく、コンテンツの自立性を持つことができるかどうかということが、重要と思います。しかし、インパクみたいに税金を使えばよいというわけでもないので、難しいところですね」
■最後に……
――今後の活動予定について教えてください。
「最近、執筆が非常に多くなってしまっているので、デザインにも力を入れたいし、紙媒体のデザインも続けたいと思っています。書籍については、共著のものが2冊ほど出版されます。個人名義の書籍も、いくつか企画が進んでいるものがあるので、年内に少なくとも1冊は出ていると思います。内容的に納得できる仕事をしたいので、今年は共著の書籍は少し抑えて、自分の企画で進められるものを中心にしていきたいと思っています。
すこし長期的には、人間が美しいものを生み出したいと思い続けてきた歴史や、情報を積み重ねて価値を生み出そうとしてきた歴史の流れのなかにWebというメディアを位置づけて、わかりやすく解説した書籍を書きたいと思っていますし、そして、目に見える実例としてのデザインをしていきたいと思っています」
――Webに関わる人すべてにメッセージを!
「基本的にデザイナーなので、Webデザイナーに向けてという感じになってしまうのですが、カンファレンスでもお話したのですけど、2chやウェブログなど、Webの世界で起こっている社会的に重要な出来事というのは、実はWebデザイナーのあまり関わらないところで起きているという気がしています。企業のWebサイトを作ることは、商売としては重要かもしれないけれど、それしか見えなくなってしまってはいけないのではないかと思っています。極端に言えば、Webは、Webデザイナーがいなくても成り立つメディアです。だからこそ、Webデザイナーは理想を高く持って、Webデザイナーにしかできない表現を提案していくべきなのではないでしょうか」
Webを「歴史」や「文化」という観点から見ておられるのが印象深く心に残りました。
また、Webと真摯に向き合っておられる様子がひしひしと伝わってきました。
もっともっと多くのことをお聞きしたい気持ちでいっぱいです!
今後の一層のご活躍を期待しております。
【参考リンク】
Studio Rain:http://yoshihiko.com
side-B:http://yoshihiko.com/side-b/
「第11回 web creators conference」レポート:http://www.mdn.co.jp/webcre/Volume/Vol28/wcc_report11/index.htm
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